用語解説dxpとは?
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デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)とは?

DXPとは

デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)は、優れたデジタルエクスペリエンスの創造を最終目標とし、デジタルトランスフォーメーションを推し進める企業のニーズを満たす新しいエンタープライズソフトウェアカテゴリです。

デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)とは?


デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)は、企業が顧客、パートナー、従業員などに優れたデジタルエクスペリエンスを提供するための企業向けソフトウェアです。

顧客があらゆるデバイスを用いて情報収集や商品購入を行う今日において、顧客は一貫したエクスペリエンスを受けることを望んでいます。

同様に、コロナ禍において企業の従業員もオフィス、自宅、また外出先から効率よく働ける環境を望んでいます。

DXPはこれらのニーズに対応し、ユーザーに優れたデジタルエクスペリエンスを提供するためにすべての要素を備えた単一のプラットフォームです。また、多くの場合他製品と連携されることが多く、連携のための口が大きいことも特徴の一つです。

DXPを用いて構築されるソリューション例としては、社内ポータル、B2B・B2Cカスタマーポータル、取引先ポータル、公開WebサイトやECサイトなど多岐に渡ります。

企業はDXPを利用することで、主に次のことが可能になります:

  • DXPをプラットフォームとして活用し、社内ポータルやカスタマーポータルなど複数のソリューションを1つのプラットフォーム上に構築。
  • 複数システムのフロントエンドとして、レガシーシステム等の外部システム・アプリと連携し、ユーザーインサイトやデータを集約、優先順位の高い情報に素早く辿り着ける仕組みを提供。
  • ユーザーにあらゆるチャネルで一貫性のあるデジタルエクスペリエンスを提供。
  • あらゆるコンテンツやユーザー情報の管理をプラットフォーム上で実現。
     

関連ホワイトペーパー:デジタルエクスペリエンスプラットフォーム - それはデジタルトランスフォーメーションを支える基盤

一貫性のあるデジタルエクスペリエンスの提供


一貫性のあるデジタルエクスペリエンスとは、複数のチャネルやデバイスにまたがって同じエクスペリエンスをデジタルで提供することです。

例えば、WebページとSNSによって情報が矛盾していたり、PCとモバイルでの統一感のないデザイン、企業担当者によって言うことがバラバラの場合、顧客は混乱してしまい、企業から離れていってしまうでしょう。

また、従業員向けのポータルサイト(社内ポータル)においても、企業が従業員に対しての通知が読まれているか把握できなかったり、ユーザー側も自分とは全く関係のないコンテンツが溢れており欲しい情報が見当たらない場合や、モバイル対応ができていないインターフェースなどは従業員満足度を下げる要因になりかねません。

従業員や顧客に一貫性のあるデジタルエクスペリエンスを提供するために、これまではスクラッチでシステムを構築するなど高度な技術スキルや膨大なリソースを必要としてきました。

しかし、コンテンツデータ、エクスペリエンス、そしてアプリケーションを1つの統合された層で管理することのできるDXPの登場により、企業はこれまでと比べ少ない労力で必要なソリューションを構築できるようになりました。

マーケットの背景:従来の製品カテゴリから生まれたDXP


デジタル化が留まることのない今日、企業は新しい技術と増え続ける顧客からの要望の両方に対応することがますます難しくなっています

このような背景から生まれたDXPには、コンテンツ管理システム(CMS)、ポータル、そしてEコマースといった、従来の3つのカテゴリーより派生したものが多く存在します。これらのルーツは、それぞれが提供するDXPパッケージの方向性を表しています。

◆CMSから発展したDXP製品◆

マーケティング部門やクリエイティブエージェンシーのニーズに重点を置いています。彼らが収集する顧客データは匿名であることが多く、属性に応じて顧客のセグメント化を行います。

これらの製品は、顧客の意識と関心を高め、ターゲティング機能でキャンペーンを提供して購入意欲を高めるといった「顧客獲得」における課題解決に適しています。特に、販売サイクルが短く、コンバージョンやユーザ母数の多いB2C(小売、ファッション)の領域で効果的です。

先進的なCMSから派生したDXPは、WEB分析、ユーザーセグメント、広告キャンペーン、メルマガキャンペーン等の強力なマーケティング機能を提供しています。こうした機能は、パッケージとして提供されることが一般的ですが、元来それぞれ別の製品であり(他のベンダーを買収して統合した可能性が高い)、それぞれの製品がうまく統合されていない可能性もあります。

CMS派生の一部DXPは、シングル・サインオン等のポータル特有の機能や、Eコマース機能なども備えています。

◆ポータルから発展したDXP製品◆

社内ポータルやカスタマーポータルなどの提供を背景にしてきたことから、ユーザーデータを匿名でなく、個人として識別、扱う必要がある場合において力を発揮します。そのため、従業員や取引先企業、獲得した顧客の長期的な関係を醸成させることに適しています。

これらのDXPは、企業が顧客ロイヤリティの育成、継続、そしてリニューアルへ繋げるためのデータを提供することができるため、 Net Promoter Scoreといった指標計算にも役立つでしょう。また、自社や代理店などが関わるような複雑なサービス(B2B取引先ポータルやB2B2Cポータル)を提供する場合においても適しています。

また、Forrester社によると、ジネスオペレーションにおけるデジタルトランスフォーメーションを進める上でシステム統合力は重要な要素と位置付けられており、ポータルから派生したDXPは複数のシステムを統合することに優れています。また、汎用性の高いサービスとモジュールは、戦略が迅速に変化し、進化する状況で、システムとして対応、追従する必要性を強力にサポートします。

ポータルから派生したDXP製品には、コンテンツ管理、ターゲティング・権限管理、モバイル対応、ワークフローやフォームといった幅広い機能が含まれています。

ECから発展したDXP製品◆

小売業および関連業界のECサイトの構築に特化しており、EC特有の製品情報のWeb出力インターフェースに加え、在庫管理、ショッピングカート、決済サービスとの連携、注文履歴などに関する機能を搭載しています。

これらの機能は、デジタルエクスペリエンスの管理と直接的には関連しないものの、ECにおける優れたカスタマーエクスペリエンスの創造には必須の機能です。また当然、EC派生のDXP製品にも様々な機能が追加されており、例えばカタログ内の商品プロモーションを強化するために、コンテンツ管理機能が備わっています。

従来カテゴリごとのDXPベンダーマトリクス


  CMS出身 ポータル出身 Eコマース出身

代表的なベンダー

Adobe Experience Manager(旧 DayCQ5; アドビマーケティングクラウドの一部)

Sitecore Experience Platform(旧Sitecore CMS)

Backbase Customer Experience Platform

Liferay DXP(旧Liferay Portal)

Hybris(SAPが買収)

Broadleaf Commerce

Demandware

得意な対象ビジネス

BtoC
 

BtoE、BtoB、BtoBtoC

BtoC、BtoBtoC

得意な顧客関係ステージ

購入前

購入後

購入前、購入完了、リピート

主な長所

メールマーケティング、分析、広告費のトラッキング等のマーケティング機能やコンテンツ管理機能。

様々なツール・アプリとの統合力や個々のユーザーデータ管理・分析機能。

EC特有のオンライン決済や在庫管理に関連する機能。

主な短所

パッケージとして提供される場合が多く、ベンダーロックインされるリスクや、社内ポータルやサポートサイト等には不向き。

顧客獲得を目指すサイト(公開WebサイトやECサイト)には不向き。

ECサイト以外での利用ケースには不向き。

どの製品を選ぶべきか


一見DXPは、CMSやポータル、EC製品のリブランド版のように思われるケースもあります。しかし、各DXPベンダーは増え続ける要望に応え続け、新しいテクノロジーを活用するために、従来とは異なるアプローチを取りはじめています。

各DXPベンダーはそれぞれの強みが異なるため、企業はDXPベンダーを選定する際、ビジネスオペレーションの根幹から変革する準備が整っているのか、あるいは一部のビジネスゴール(認知度や従業員体験の向上等)のみに優先度を置くかを決定する必要があります。

Forrester社アナリストのリズ・ハーバート氏は、プレゼンテーション「リアル・デジタル変換のためのパートナーシップ戦略(More Than Meets the Eye: Partnering Strategies for Real Digital Transformation)」にて、「本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションは、エクスペリエンスとオペレーション・コアの両方が対象となる」と述べています。

魅力的なWebサイトやモバイルアプリを提供することは良いことですが、より優れたCXの構築には、顧客を中心に様々なプロセスを最適化することが求められます。

その過程で、基本的なパーソナライゼーションから高度なワークフロー設定、迅速に再構築が可能なビジネスサービスの完全なモジュール化など、あらゆる方法で顧客ニーズへ対応することができるようになります。

こうした視点を持ちつつ、貴社の状況、今後の予定を踏まえた上でベンダー選定を行うと良いでしょう。

なお、弊社のDXP製品はポータルから派生した製品となっており、世界で2,500社以上に導入されており、社内ポータル、カスタマーポータルや取引先ポータルの構築に利用されています。

お客様に自由なポータル構築・運用環境を提供するため、オンプレミス・プレイベートクラウド向けのLiferay DXP Self-hosted、SaaSサービスのLiferay Experience Cloud、PaaSサービスのLiferay Experience Cloud Self-hostedをご用意しています。

製品詳細はこちら、導入事例一覧はこちらよりご覧ください。