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ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?CXとの違いも含めてわかりやすく解説

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?

ユーザーエクスペリエンス(UX)の定義を、カスタマーエクスペリエンス(CX)との違い、優れたUXのデザイン方法を含め、わかりやすく解説します。

ユーザーエクスペリエンス(UX)の定義と、カスタマーエクスペリエンス(CX)との違い


ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、企業の商品・サービスの利用者(ユーザー)が、それらの利用を通じて受けた体験や、感情のことです[1]。

例えば、本記事を読んだ後の感想、ウェブサイトをクリックしたときの読み込み速度の速さへの驚き、問い合わせ対応の雑さへの不満など、ユーザーが企業の商品・サービスの利用を通じて生じる全てのやりとりが、ユーザーエクスペリエンスを生み出します。

UXと似た、カスタマーエクスペリエンス(CX)という言葉もありますが、両者の違いはしっかりと理解しておく必要があります。CXは「ある商品やサービスの利用における顧客目線での体験」のことで、同じように聞こえるかもしれませんが、UXが一時的なインタラクションであるのに対し、CXはインタラクション全体のことを指します。

例えば、商品購入時においてUXは『商品購入前のエクスペリエンス、購入時のエクスペリエンス、購入後のエクスペリエンス』と複数のエクスペリエンスが生じる一方、CXでは『購買プロセス全体でのエクスペリエンス』と1つのエクスペリエンスが生じます。そのため、カスタマーエクスペリエンスは、ユーザーエクスペリエンスが積み重なったもの、と考えるば分かりやすいでしょう。

商品購入時における、UXとCXの違いの解説

また、UXは通常、デジタルテクノロジーによるインタラクションにて使われることが多く、これは、UXの手法でワイヤーフレームやユーザビリティ、その他のデジタル特有のプロセスに重点が置かれているためです[2]。

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ユーザーエクスペリエンス(UX)のデザイン


優れたユーザエクスペリエンスのデザイン(設計)に貢献する要素は多くあり、例えば、ユーザーインターフェイス、ユーザビリティ、ユーザー検索などがその一例です。ただし、『ユーザーエクスペリエンスデザイン』と『ユーザーエクスペリエンス』は異なります。同じものと思われることが多いですが、UXは、エクスペリエンスそのものを指し、UXの専門家たちが、エクスペリエンスをデザインするために集める、各要素を指すわけではありません。事実、UXデザインの要素を最適化し、洗練させることは、ユーザーがどう感じるかに大きく影響を及ぼしますが、それでもデザイナーだけでは管理できないものは常に存在します。

優れたユーザーエクスペリエンスのデザインには、ユーザーに満足してもらえるかどうかを検討することが重要です。これはつまり、企業がUXをデザインする前に、ユーザーのニーズを明確に理解しておく必要があるということです。詳細なユーザー調査を行うことは、UXをデザインする際に、UXの各側面における機能やその価値に関し決断を下す上で非常に役立ちます。

ユーザーエクスペリエンス分野の識者であるピーター・モーヴィル氏は、UXのデザインプロセスを、一線上的ではなく、多次元的に検討されるべきであると述べ、ハニカム構造で表現しました[3]。

ハニカム構造

これら7つの要素は、優れたエクスペリエンスのデザインに役立つだけでなく、その効果のテスト、調査、測定を行う上でも活用できます[4]。各要素の意味をよりよく理解するために、オンラインバンキングで例えると:

  1. Useful(利便性):オンライン上で、口座残高の確認や支払いなどができるため、店舗へ行く必要がなく、高い利便性。
  2. Usable(利用しやすさ):直感的な操作性が備わっていれば、残高ページを確認すると、情報が正確であり検索も容易。
  3. Desireble(望ましさ):優れたインターフェースは、実際に店舗を訪問するよりも、講座管理が容易に行える。
  4. Accessible(アクセスしやすさ):視覚障害やその他の障害を持つユーザーのアクセシビリティニーズを満たす構成(自動音声案内など)。
  5. Credible(信頼性):アクセスがセキュリティで保護され、セッション終了後には自動的にログアウトされるなどの、信頼できるセキュリティ。
  6. Findable(見つけやすさ):新しいクレジットカードを作成する際、利用可能な特典などが見つけやすく、作成申請ページも分かりやすい配置。
  7. Valuable(価値がある):セルフサービス機能により、サポートセンターのコストが削減されつつ、顧客にとっては価値のあるエクスペリエンスとなるため、顧客満足度も向上。

いかなるユーザーエクスペリエンスのデザインであっても、上記の側面全てを見過ごすべきではありませんが、同時に企業は、「ユーザーにとっての最優先事項」について深く理解することも重要です。時には、チームのリソースの大半をとてもリッチな機能の実装に注ぎ込んでも、ビジュアルデザインが十分でないがゆえに、ユーザーはその機能を一切使わないということも起こり得るでしょう。

企業は、ユーザーエクスペリエンスを検討する際に、「価値がある」ことを、「独特である」ことや「革新的である」ことと混同しないように注意する必要があります。 サイトの見た目のデザインや機能は、ユーザー体験を全ての包括するものではないため、時にはシンプルなものが最良なソリューションだったりします。 サイトは、美しくモダンなデザインにすることもできますが、不必要に複雑にしてしまった場合(使い勝手が悪い場合など)、結果的に全体的なユーザーエクスペリエンスは悪化してしまうのです。

ユーザーエクスペリエンス(UX)とカスタマーエクスペリエンス(CX)のデザインにおける関係


冒頭で解説したように、カスタマーエクスペリエンスは、ユーザーエクスペリエンスが積み重なってできたものと捉えることができます。そのため、デザインにおいて、UXは一時的なエクスペリエンスに重点を、CXは全体的なエクスペリエンスに重点を置いて考えてしまう危険性があります。また、デザイン担当者が別々の場合、これらの2つの役割は企業内でサイロ化(分断化)してしまう可能性もあります[5]。しかし、UXとCXを融合させることで、企業は顧客とビジネス両方のニーズとフィードバックをバランス良く、繰り返し受けられる仕組みを構築できるでしょう。

例えば、ウェブサイトでの事例資料の閲覧に、メールアドレスの登録を必須にするかどうか、という課題はどのように解決するでしょうか?ユーザーに対して、ただ資料を閲覧するためにメールアドレスを要求することは、望ましくないエクスペリエンスを生む可能性があるため、UXの観点からは、メールアドレスの登録を必須にはしないでしょう。しかしながら、メールアドレスが取得できれば、マーケターや営業が関連する資料を送付できるようになるため、CXの観点からは、メールアドレスの登録を必須にしたいでしょう。

そのため、企業はあらゆるエクスペリエンスの提供において、常に目標に対するバランスを考える必要があります。

さいごに


ユーザーエクスペリエンスの意味や、カスタマーエクスペリエンスとの違いを理解頂けたでしょうか。本記事を読んだ感想がUXとなり、もしこの前後で当ウェブサイトの他のページも閲覧した場合は、それらのページの評価(=それぞれのUX)を含めたものが、カスタマーエクスペリエンスとなります。

UXとCXをデザインする際は、この2つの違いを十分に理解し、企業の目標に対するバランスを考えて行う必要があるでしょう。

参照文献