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Liferay 7における、サービス実装パターンの基礎

Liferay 7における、サービス実装パターンの基礎をご紹介。

はじめに


※本記事はLiferay Community Blogに投稿されている”A Simplified Pattern for Liferay 7 Services”を翻訳したものです。

本記事で紹介するのは、簡易化したOSGiサービスAPIと実装パターンです。プログラマがインタフェースクラスと実装クラスを同期させるだけで済む、従来のJavaインタフェースの実装パターンに従います。 Liferay 7のサービスビルダーは使用しません。

本リンクのアーカイブはMyBatisに基づいて完全に実装されたORMサービスです。 Bladeで作成したワークスペースのmodulesフォルダへ解凍してください。このサンプルを完全に運用可能なものにするための、バックエンドデータベースを作成するスクリプトが、すぐに追加されます。

Factory使用パターン


'api.Factory'クラスは、コンシューマーが必要とするサービスを受けるためのアクセスポイントです。コンシューマクラスは、次のようにFactoryを使用します。

実装パターン

このORMの例では、2つのトップレベルパッケージ:'api'と 'impl'があります。 ’api’ とその子パッケージは、このサービスAPIのコンシューマーによってエクスポートされ、使用されます。 'impl'とその子パッケージは実装専用であり、このOSGiモジュールのプライベートパッケージのままでなければなりません。

  1. import com.acme.orm.api.bean.Order
  2. import static com.acme.orm.api.Facotry.getOrderLocalService;
  3. class OnlineStore {
  4. public Order checkOrder(String orderId) {
  5. Order order = getOrderLocalService().getOrderDetailsById(orderId);
  6. // Do something else
  7. return order;
  8. }
  9. }

このモジュールのOSGiの実行時ライフサイクル管理を維持するため(起動、停止、インストール、アンインストール)、Factoryから取得したサービスオブジェクトの参照を、保持しないことが重要です。

  1. // DO NOT DO THIS
  2. OrderLocalService myService = getOrderLocalService();
  3. // DO NOT DO THIS
  4. OrderLocalService myService = Factory.getOrderLocalService();

Liferayサービスビルダーは、ユーザーがXyzServiceUtilクラスの静的メソッドを利用して、サービスの参照を保持しつづけないようにしました。更に、XyzServiceBaseImpl、XyzServiceWrapperに加え、1つのサービスに対する2つのプロジェクト(2つのjarファイル)といった無関係で混乱を招くその他の成果物も作成されます。

初心者向けの対応で複雑さを増す代わりに、なぜ経験もあり、自分がやっていることを理解しているプログラマーたちに、OSGiサービスオブジェクトを参照し続けないように、といわないのでしょうか?そうすれば、わかりやすい実装にするために、従うべきルールは以下の2つです。

  • APIインターフェイスクラスを実装クラスと同期させる。
  • Factoryから取得したサービスオブジェクトの参照を保持しない。

ServiceTrackerを理解する

OSGiモジュール(またはバンドル)が停止、起動、アンインストール、または再インストールされて実行時に置き換えられる場合、そのモジュールによって提供されるサービスも同様に置換されることが望ましいでしょう。
ServiceTrackerは、モジュールライフサイクルの変更を追跡するOSGiクラスです。モジュールのライフサイクルの変更は、コンシューマコードがServiceTrackerから常にサービスにアクセスする限り、サービスコンシューマコードに対して透過的です。

OSGiは、Javaプログラムと同じ、実行時動作を示すJVMインスタンスで実行されるコンポーネント・フレームワークです。コンシューマ・コードがサービス・オブジェクトへの参照を保存すると、そのサービス・オブジェクトは、OSGiがそのモジュールを新しいインスタンスに置き換えた場合でも存続します。そのサービスオブジェクトは、コンシューマコードだけが知っている孤立した古いインスタンスになります。これが、サービスへの参照を保持すべきでない理由です。

この実装パターンでは、Factoryクラスは対応するServiceTrackerからサービスオブジェクトを取得します。 ServiceTrackerのgetService()メソッドは、モジュールのライフサイクルの変更をコンシューマコードから保護します。

  1. @ProviderType
  2. public class Factory
  3. {
  4. private static ServiceTracker
  5. _OrderLocalService = ServiceTrackerFactory.open(OrderLocalService.class);
  6. public static OrderLocalService getOrderLocalService() {
  7. return _OrderLocalService.getService();
  8. }
  9. }

ローカルvsリモートサービス

Liferay 7.0のローカルサービスとリモートサービスの違いは次のとおりです。
1. APIの基本インターフェース
2.リモートインタフェースの特定のアノテーション

ORMの例では、OrderLocalServiceはローカル・サービス・インタフェースです。

ローカルサービスAPI宣言

  1. @ProviderType
  2. @Transactional(isolation = Isolation.PORTAL, rollbackFor = {
  3. PortalException.class, SystemException.class})
  4. public interface OrderLocalService extends BaseLocalService {
  5. }

OrderServiceはRESTful Webサービスとして公開されるリモートサービスインターフェイスです:

リモートサービスAPI宣言

  1. @AccessControlled
  2. @JSONWebService
  3. @OSGiBeanProperties(property = {
  4. "json.web.service.context.name=acme",
  5. "json.web.service.context.path=Order" }, service = OrderService.class)
  6. @ProviderType
  7. @Transactional(isolation = Isolation.PORTAL, rollbackFor = {
  8. PortalException.class, SystemException.class})
  9. public interface OrderService extends BaseService {
  10. public Order getOrderDetailsById(String orderId);
  11. }

このRESTful Webサービスは、次のカタログの、Context Name "acme"の下で見つけることができます(ドロップダウンボックスをクリックして、 "acme"または他のコンテキスト名を見つけてください)
http://localhost:8080/api/jsonws?contextName=acme

ローカルとリモートの両方のサービス実装クラスは、対応するAPIインターフェイスを実装するだけです。 ORMの例では、OrderLocalServiceImplは、実際のデータベースへのマッピング作業を行うローカル実装です。以下に示すように、リモート実装はローカルFactoryサービスを呼び出します。

リモートサービスの実装

  1. @ProviderType
  2. public class OrderServiceImpl implements OrderService {
  3. public Order getOrderDetailsById(String orderId) {
  4. return Factory.getOrderLocalService().getOrderDetailsById(orderId);
  5. }
  6. }

開発の詳細

本パターンでサービスを作成し、実装するためにキーとなるファイルがあります。

Eclipseの.projectと.classpath

サンプルアーカイブ内の2つのファイルは、EclipseがGradleプロジェクトとして認識するよう、サービスプロジェクトを開始するために使用する必要があります。プロジェクトをEclipseにインポートする前に、.projectファイルのプロジェクト名をタグで変更することができます。

<name> orm.api </ name>

また、Javaファイルとリソースファイルを保持するために、次の2つのフォルダ構造を作成する必要があります。

src / main / java
src / main / resources

Eclipseにインポートしたら、プロジェクトを右クリックして、 "Gradle" >"Gradle Projectをリフレッシュする" を選択してください。 Liferay Bladeが作成した、親Gradleプロジェクトでも同じことができます。

build.gradle

2つの 'org.osgi:org.osgi*'依存関係はOSGi機能に必要です。

  1. dependencies {
  2. compile group: "com.liferay", name: "com.liferay.osgi.util", version: "3.0.3"
  3. compile group: "com.liferay.portal", name: "com.liferay.portal.kernel", version: "2.0.0"
  4. compile 'org.osgi:org.osgi.core:5.0.0'
  5. compile 'org.osgi:org.osgi.annotation:6.0.0'
  6. compile group: 'javax.servlet', name: 'servlet-api', version: '2.5'
  7. compile group: "org.mybatis", name: "mybatis", version: "3.4.1"
  8. compile files('./resources/lib/sqljdbc4.jar')
  9. compileOnly group: "com.liferay", name: "com.liferay.journal.api", version: "1.0.0"
  10. }

bnd.bnd
‘api’下すべてのパッケージは、”Export-Package:”設定で、エクスポートする必要があります。 "Liferay-Spring-Context:"設定は、Liferayに、以下のmodule-spring.xmlファイルにSpring bean定義をロードするよう指示します。 "Lifer-Require-SchemaVersion:", "Liferay-Service:", "Require-Capability:"の設定も必要です。

  1. Bundle-Version: 1.0.0
  2. Bundle-ClassPath: .,lib/sqljdbc4.jar
  3. Export-Package: \
  4. com.acme.orm.api,\
  5. com.acme.orm.api.bean,\
  6. com.acme.orm.api.exception
  7. Import-Package: \
  8. !com.microsoft.sqlserver.*,\
  9. !microsoft.sql.*,\
  10. !com.sun.jdi.*,\
  11. !net.sf.cglib.proxy.*,\
  12. !org.apache.logging.*,\
  13. *
  14. Include-Resource: @mybatis-3.4.1.jar
  15. Liferay-Require-SchemaVersion: 1.0.0
  16. Liferay-Service: true
  17. Liferay-Spring-Context: META-INF/spring
  18. Require-Capability: liferay.extender;filter:="(&(liferay.extender=spring.extender)(version>=2.0)(!(version>=3.0)))"
  19.  

src/main/resources/META-INF/spring/module-spring.xml

各Bean定義について: "class ="値は実装クラス名であり、 "id ="値はインタフェースクラス名です。

  1. <?xml version="1.0"?>
  2. <beans xmlns="http://www.springframework.org/schema/beans" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" default-destroy-method="destroy" default-init-method="afterPropertiesSet" xsi:schemaLocation=" http://www.springframework.org/schema/beans http://www.springframework.org/schema/beans/spring-beans.xsd">
  3. <bean class="com.acme.orm.impl.CommunicationMediumLocalServiceImpl" id="com.acme.orm.api.CommunicationMediumLocalService" />
  4. <bean class="com.acme.orm.impl.MessageCenterLocalServiceImpl" id="com.acme.orm.api.MessageCenterLocalService" />
  5. <bean class="com.acme.orm.impl.NSMUserLocalServiceImpl" id="com.acme.orm.api.NSMUserLocalService" />
  6. <bean class="com.acme.orm.impl.OrderLocalServiceImpl" id="com.acme.orm.api.OrderLocalService" />
  7. <bean class="com.acme.orm.impl.OrderServiceImpl" id="com.acme.orm.api.OrderService" />
  8. <bean class="com.acme.orm.impl.RoutingAreaLocalServiceImpl" id="com.acme.orm.api.RoutingAreaLocalService" />
  9. <bean class="com.acme.orm.impl.WebContentArticleLocalServiceImpl" id="com.acme.orm.api.WebContentArticleLocalService" />
  10. </beans>

   

 

本記事は以上です。
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